来年2020年に京都コンサートホールは開館25周年を迎えます。京都コンサートホールでは、そんなメモリアルイヤーを祝福するために、ホール初の3日間にわたるビッグイベント「Sing for Peace〜KYOTO 2020 コーラス・フェスティバル~」を2020年5月22日~24日に開催します。
本フェスティバルのテーマは「合唱と平和」。合唱音楽を通して、京都市民の方々はもちろん、日本各地や海外からの皆さまを巻き込んで地域活性化を図りながら、歌と共に「世界平和」を祈るために、京都コンサートホール全館を使用し、「合唱」で人々を感動の渦へと巻き込む、西日本最大級のコーラス・フェスティバルです。
本フェスティバルのために、イギリスから特別ゲストとして、作曲家・合唱指揮者であるボブ・チルコット氏と、プロフェッショナル・アンサンブルを含む2つの合唱団、そしてポーランドからも合唱団をお呼びします。また、ボブ・チルコット氏と京都出身の作曲家の平田あゆみ氏に新作を委嘱します。
音楽監督 浅井 敬壹 Keiichi ASAI, Music Director
◆開催に寄せて
2020年、オリンピックが東京で開催される年に、文化都市京都では音楽、特に合唱の、世界的な催しを開こうと企画したのがこの『Sing for Peace』です。世界から、そして日本中からお越しくださる素晴らしい音楽家・合唱団がステージに立たれます。みなさん、どうぞご期待ください。
私は幼少期、中国吉林省(旧満州)から命からがら京都へ引き揚げてきました。生家に戻ったとき、母が私に「いただいた命、これから大事に生きていこうね」と話してくれたのを憶えています。ひたすらに戦後を生きた私は、やがて合唱に出会い、それが今日までの心の糧となりました。
何の強制力も持ち得ない“歌”は、しかし本当に優しくそして強いものです。ひとりひとりの歌を重ねあう合唱は、人々の心を開き、生きる力を蘇らせ、人と人とを繋ぎます。世界が人の結びつきである限り、歌声の輪によってこの世界が結ばれるなら、やがて戦争はなくなり、地球は必ず平和になると、そうありたいと願っています。
『Sing for Peace』の特別ゲストとして、世界を代表する作曲家であり指揮者であるボブ・チルコットさんがイギリスから来てくださいます。「合唱は世界を平和にする」という私の信念を、今、この地球上で一番理解してくれる人です。
◆プロフィール
イギリスの合唱曲作曲家、指揮者、歌手。ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団で、少年団員および大学生として合唱に参加。1967年には同合唱団のガブリエル・フォーレ作曲のレクイエムより「Pie Jesu」のレコーディングにも参加している。1985年にはキングズ・シンガーズに入り、12年間テナーを務めた後、作曲に集中するため1997年に脱退した。作曲者として多くの合唱作品を残す一方、指揮者、セミナーの指導者としてもワールド・ワイドな活躍をしている。クラシックとポピュラー音楽を融合させた音楽を得意としており、特にジョージ・シェアリングらジャズ・ミュージシャンとの数多くの共演から多大な影響を受けたというジャズの音楽要素は、好んで彼の音楽に取り入れられている。 中でもジャズ・トリオ(ピアノ、ベース、ドラム)を伴奏としたミサ曲「A Little Jazz Mass」は彼の最も成功した作品の一つ。
大の親日家としても知られ、「コーラス・ワークショップ」や「ジュニアコーラス・フェスティバル」などの講師として何度も来日し、音楽のみならず、その人柄でも私たちを魅了している。
世界には様々な音楽があり、音楽は人の心を動かし、様々な違いを超えて人と人を結ぶ力を持っています。そして人々の人生を豊かにするものでもあります。音楽をともに聴きあう姿の中には、人々が互いに認めあう平和の種が宿っていると思います。京都で「Sing for Peace」という合唱による平和の祭典が催され、そのテーマソングの依頼をいただきましたことを大変光栄に思います。しかも谷川俊太郎さんの作りたての詩に作曲できるとは、なんという喜びでしょうか。
「平和」について明快な筋道をもって語られ、人々に様々な像を鮮やかに結ばせながら展開するこの歌が、「Sing for Peace」のシンボルとして、また新しく出会った方々のコーラスとなって、より多くの方々の心に届くことを願っております。
本フェスティバルの開催を記念して、特別ゲストのボブ・チルコットに委嘱した《Make us a channel of your peace》は、3日目の「クロージング・コンサート Part II 」にて初演を予定しています。
チルコットが選んだ詞“Make us a channel of your peace(主よ、私をあなたの平和の道具としてください)”は、アッシジの聖フランシスコ(フランシスコ会の創設者)に由来するとされている有名な祈祷文です。これまでマザー・テレサやヨハネ・パウロ2世、マーガレット・サッチャーなど、著名な人物がその演説の中で引用や朗誦を行い、公共の場で聴衆と共に唱和されてきました。チルコットが用いる美しい祈りの言葉と音楽にのせて、京都コンサートホールから世界に向けて平和のメッセージを発信します。
※当初の発表より曲名が変更になりました。
スペシャル・サポーター
矢野 一郎(洛和会ヘルスケアシステム 理事長)
音楽は古代エジプト時代から医療に用いられてきました。心を癒すことが病気の治癒に役立つことは、古くから知られた人類の知恵でした。洛和会ヘルスケアシステムはこうした音楽の「癒す力」に着目して「洛和会京都音楽療法研究センター」を設け、さまざまな医療や介護の場に音楽療法を取り入れ効果を上げております。
開館25周年を迎える京都コンサートホールで開かれる
「Sing for Peace~KYOTO 2020コーラス・フェスティバル」
の開催にあたり、洛和会ヘルスケアシステムの2病院(洛和会音羽病院、洛和会音羽リハビリテーション病院)がスペシャル・スポンサーを務めさせていただくのは、こういう音楽の力への共感と感謝のためです。
「合唱と平和」をテーマに国内外から合唱団が集い「平和」や「愛」を歌い上げる素晴らしいフェスティバルです。世界に音楽・合唱の力を発信するとともに、京都でもさわやかな歌声の輪を広げてくれると思います。医療・介護を通じ健康でより良い社会作りに取り組んでいる洛和会ヘルスケアシステムとして、その一翼を担わせていただくことは大きな喜びです。