第3期登録アーティスト 福田優花(ピアノ)インタビュー (2025.3.9 Join us(ジョイ・ナス)!~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~「ジョイント・コンサート」)

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京都コンサートホール

2024年度から「京都コンサートホール 第3期登録アーティスト」として、アウトリーチ活動を行っているピアニストの福田優花さんと宮國香菜さん。2025年3月9日開催の「ジョイント・コンサート」では、それぞれの想いが詰まったプログラムを皆さまにお届けします。

公演に先立ち、福田優花さんにインタビューを行いました。福田さんご自身のことやアウトリーチ活動について、また今回の「ジョイント・コンサート」についてお話しいただきました。ぜひ最後までご覧ください!

 

幼少期(京都コンサートホールにて)

 ◆福田さんについて

――ピアノを習い始めたきっかけについて教えてください。

ピアノを習い始めたのは6歳のころです。母が趣味でピアノを弾いている姿を私が見ていて、「弾いてみる?」と聞かれ、「うん」と答えたのがきっかけのようです。練習などをどのようにしていたか記憶はないのですが、ピアノを始めて1年でコンクールに出ました。

――1年で!すごいですね。初めてのコンクールのことは覚えていますか?

幼少期の福田さん

全く覚えていません(笑)。ですが、初めての発表会の時のことはよく覚えています。《人形の夢と目覚め》という曲を演奏したのですが、母の話によると、 演奏中なのに弾きながらチラチラ客席の方を見ていたらしく(笑)。演奏後に母が「ピアノは上手だったけど、本番で弾いている時はこっち見たらあかんねん」と言ったそうです。緊張はしなかったのですが、子どもですので気が散っていたのでしょうね。

――ピアノは京都で習い始めたのですか?初めて師事された先生はどのような方だったのでしょうか。

私は父親が転勤族だったので、実は初めの先生には1年しか習っていないのです。ピアノを始めた時は石川県にいました。そして小学校2年生の終わりに京都に引っ越し、そこで出会った先生が、京都市立京都堀川音楽高校(以下、「堀音」)でピアノを教えていらっしゃった福井尚子先生でした。すごく熱心に教えてくださり、また私も福井先生が大好きだったので「ずっと習いたい!」と思い、そこから父に単身赴任してもらい、父以外の家族は京都に残り、ピアノを習うことができました。

堀音時代。福井尚子先生と

――ピアノを習うために、お父様が単身赴任されたのですね!福田さんの生まれは石川ですか?

いえ、実は東京なのです。両親が大阪生まれで関西に帰りたいとい気持ちがあったようで、最終的に京都に住むことになりました。小学校2年生からずっと福井先生にピアノを習い、先生の母校でもある堀音を受験しました。

――高校での生活はいかがでしたか?

文化祭にて(ミュージカル「ウィキッド」)

堀音がすごく好きだったので、毎日楽しく3年間通っていました。ちょうど、校舎が西京区から現在の中京区に移転して5年目の年だったのですが、出来たてのとても綺麗な校舎で、ピアノもたくさんあって、自由に練習もさせてもらえて、立派なホールもあり、音楽を学ぶには本当に素晴らしい環境でした。先生方もすごく熱心で、様々なことを勉強させていただきました。学内での実技試験など、クラスメイトとは競う機会もありましたが、高校生活は本当に楽しかったです。

 

東京藝術大学院時代(演奏会にて)

――その後、東京藝術大学に進学されましたが、もともと東京に行こうと決めていたのですか?

私は弟もいるので、経済的にも初めから「進学先は国公立で頼みたいし、浪人は難しい」と両親から言われていました。師事していた福井先生は、堀音から東京藝術大学に行かれており、「目指せる範囲内で1番難しいところに行くことが、のちのち必ず己のためになる」と言われ、東京藝術大学を目指しました。

――東京藝術大学での生活はいかがでしたか?

全国から様々な人が集まってくるので、とても面白い大学でしたね。学部時代は青柳晋先生、大学院時代は坂井千春先生に師事していました。当初、大学院への進学は考えていなかったのですが、もう少し勉強したいなと思い、両親に頼み込んで受験しました。

 

――その後パリに留学されましたが、大学入学前から視野に入れていたのですか?

京都フランス音楽アカデミーにて(ブルーノ・リグット先生と)

いえ、大学院を卒業したら、日本でピアノのお仕事をしていきたいと思っていました。しかし、学部4年生の頃、「京都フランス音楽アカデミー」を受け、そこで会ったブルーノ・リグット先生から「フランスに来ないか?」とお声がけいただいたのが留学のきっかけです。ちょうど新型コロナウィルス感染症のパンデミックが始まったばかりの時期でしたので、大学院を卒業してから半年後にフランスのパリ・エコールノルマル音楽院に留学しました。

 

――留学生活はいかがでしたか?

パリ郊外(近所の公園)

とても充実していました。ピアノの練習はもちろんですが、リグット先生はよく「せっかくフランスに来たなら、色々なものを見に行きなさい」と仰っていました。美術館など特定の場所に行くだけでなく、ただ街を歩くだけでも得るものがある、と。散歩をし、季節ごとに空気が変わるのを感じ、人が喋っている会話を音として聴いておく、そのような様々なことを経験し、自分の感性に取り入れることもやりなさい、と教えてくださいました。私が住んでいた場所はパリ郊外で落ち着いた静かなところでしたので、よく考え事などをしながら、街を散歩していました。

 

パリ・エコールノルマル音楽院前(リグット先生と)

――ピアノのレッスンはいかがでしたか?

先生は、とても優しく温かい方でしたが厳しい面もありました。一番大変だったのは、「この曲をしましょう」と決まった時に、2週間以内に暗譜をしなさいと言われたことです。その時はずっと練習していましたね。曲を仕上げるスピードも大事なことですので、2週間で必死に暗譜をしました。ただ楽譜を覚えることだけでなく、音楽として形にすることを習得してほしいという意図もあったのだと思います。短期間である程度自分の主張をまとめ、曲の全体像を形作るというのは、とても重要な訓練でした。また、リグット先生はシューマンとショパンをお得意で、私も好きな作曲家でしたので、たくさん学びました。

 

フランス(ノアン・ショパンフェスティバルにて)

――フランスからご帰国後は、京都に戻ってこられましたね。

はい、2023年の9月に帰ってきました。帰国後、すぐに登録アーティストに応募し、2024年の2月にオーディションを受けさせていただきました。
京都が好きですし、京都の先生に長い間師事していたので、故郷で活動して貢献できるような演奏がしたいなとは思っていました。ですので、勉強が一通り終わったら、京都に戻ってくることは大学で東京に行った時から決めていました。

――そうだったのですね!登録アーティストのことはいつ頃からご存知だったのですか?

第1期登録アーティストとして、高校の先輩である田中咲絵さんが活動していらっしゃる時、その時の演奏会チラシや募集チラシを見て、存在を知りました。大学時代に福井先生のお家に遊びに行った時に、「こういう制度が京都コンサートホールで新しく始まったみたい。あなたが卒業する頃に募集があったらぜひ応募してみたら?」と教えていただきました。

――ちょうどご帰国のタイミングが、登録アーティストの募集と重なったのですね!普段、アウトリーチ活動以外はどのようなことをしていらっしゃいますか?

リサイタルや室内楽コンサートなどでの演奏のほか、 十字屋(京都の楽器店・音楽教室)でピアノ専門コースというピアノを専門的に学びたいと考える方々の講師をさせてもらっています。堀音や音楽大学の受験、コンクールを目指す子どもたちから、熱心な大人の方まで幅広い方を対象としています。

――福田さんの今後の目標を教えてください。

アウトリーチにおける小学生の皆さんとの関わり合いを通じて、聴き手とさまざまな交流をし、相手の反応によって時には即興的な対応をしながら演奏するということを学んでいます。これは、話したりアクティビティをしたりはしない一般的なコンサートにおいても必要なことだと思います。聴衆の皆さんと何らかの形で、時には無言のうちに空気感のやり取りをしながら、その瞬間だけでも互いの気持ちをひとつにできるような演奏を目指していきたいと思います。

 

◆アウトリーチ活動&ジョイント・コンサートについて

――アウトリーチ活動を通して、福田さんが一番伝えたいことは何ですか?

「自分の経験と音楽を重ね合わせて、音楽を楽しんでほしい」ということです。
クラシック音楽は、よく分からないものを、静かにちんと座り、何の説明もないなか聴かされ、しかも長いみたいな、堅苦しいイメージがあると思います。そのような中で、クラシック音楽をあまり知らない人がどうやったら楽しいと感じてくれるかな、と考えました。そして、楽曲における背景や解釈、題名から連想される作曲家の想いなどが、聴き手の経験と結び付いた時、「面白い」「少し納得できる」という風に思えるのではと感じ、プログラムを組み立てていきました。

初めて訪問した小学校(2024年8月)

あらゆる角度から、聴き手にクラシック音楽を楽しいと思ってもらえるような、工夫凝らしたプログラムをお届けしています。音楽はやはり、最終的には心や精神で楽しむものだと思うので、アクティヴィティなどを通して身体で楽しむ形から、音楽から情景を想像するなど頭と心を使うような流れにしています。

 

――アウトリーチに参加してくれた生徒さんからのお手紙をいただくこともありますよね。

楽しかった!という言葉が多く、また時には演奏した楽曲に対する私が思いもよらなかった発想などが書かれていることもあり、どれもとても嬉しく思いながら読んでいます。とある女の子からのお手紙では、「最近は忙しくなったのでピアノは辞めてしまったが、久しぶりに演奏を聴いて、中学校に入ったら再開したいと思いました。そのようなきっかけをくださり、ありがとうございました」と書いてあり、とても嬉しかったです。

――3月9日のジョイント・コンサートでは、ショパンのバラードを全曲を披露してくださいますが、なぜこの曲を選ばれたのですか?

インタビューの様子

ショパンが好きな方は多いと思うのですが、私も例に漏れずショパンはすごく好きな作曲家です。 バラード全曲や スケルツォ全曲、プレリュード全曲など、ショパンの何かの作品ジャンルにおいての全曲演奏は、いつかやりたいと昔から思っていました。 今回、このような特別な機会をいただきましたので、それにふさわしいプログラムにしたいと思い、バラード全曲を選びました。
ショパンのバラードはポーランド詩人の愛国の詩に、祖国を追われたショパンが大変共感したことから書かれた、非常にメッセージ性の強い曲だと思います。私自身に立ち返ってみると、アウトリーチにおいて「自分事として音楽を楽しんでほしい」ということを目的にしているので、ショパンが詩を自分の境遇や心情に重ねて書いたバラードに通じるものを感じ、ジョイント・コンサートで演奏したいと思いました。

――コンサートには、アウトリーチを聴いてくださった生徒さんもたくさんお越しくださる予定です。どのように演奏を聴いていただきたいですか?

学校でやったアクティヴィティに参加してもらうようなことは今回はできませんが、素晴らしいホールで実際に演奏聴いた時に、教室で聴いた時と違う感覚があれば、それだけで十分に嬉しいかなと思います。演奏する前に、曲についてのお話をすることになると思いますので、アウトリーチでの経験が活かし、想像力を働かせて聴いてもらえたら嬉しいです。また、バラード全曲を演奏会で披露するのは初めてですので、気合いを入れて頑張って準備しています!

――楽しみにしています!それでは最後に、コンサートに向けて一言お願いします。

アウトリーチ活動の1年目の締めくくりということで、今の自分にできる中で特別なプログラムにしたいと思い、準備しました。アウトリーチで生徒さんたちとのコミュニケーションを通して感じていることをたくさん盛り込みつつ、いい演奏会にできるように宮國さんと力を合わせて頑張りたいと思っております。ぜひ会場でお待ちしております!

――福田さん、ありがとうございました。ジョイント・コンサートを楽しみにしています!

2024年12月(京都コンサートホール応接室にて)

♪公演詳細はコチラ

第3期登録アーティスト 宮國香菜(ピアノ)インタビュー<後半>(2025.3.9 Join us(ジョイ・ナス)!~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~「ジョイント・コンサート」)

投稿日:
京都コンサートホール

2024年度から京都コンサートホール第3期登録アーティストとして、アウトリーチ活動を行っているピアニストの福田優花さんと宮國香菜さん。3月9日に開催いたします、ジョイント・コンサートに向けてインタビューを実施いたしました。

インタビュー前半では、宮國さん自身のことについてお聞きしましたが、後半では、アウトリーチ活動やジョイント・コンサートについてお話いただきました。是非ご覧ください!

 

――これまでの音楽歴について色々なお話をお伺いしましたが、アウトリーチ活動に関するお話もお聞かせください。なぜ、京都コンサートホールの登録アーティストに応募しようと思われたのですか。

京都コンサートホールが大好きだからです。小さい頃に両親がコンサートホールへオーケストラの演奏会などに連れて行ってくれたこともあり、思い入れのある大切な場所です。

アウトリーチ研修会にて(2024年5月)

大好きなホールと一緒にアウトリーチ活動ができるということが、自分にとってとても良い経験になるだろうと思いました。また、演奏機会を増やしたいと思ったことも応募した理由の一つです。学業を終え、生まれ育った京都の地でより多くの方に音楽をお届けしたいという思いがあり、その点においても魅力的な事業でした。

 

――子どもたちに生の演奏を届けるという本事業を通して、どのようなことを目指されていますか。

初めてのアウトリーチ公演(2024年7月)

アウトリーチ先の子どもたちは様々です。普段からクラシック音楽を聴いている生徒さんもいれば、そうでない生徒さんもいます。そんな中で、私のピアノ演奏を通して、少しでもたくさんの子どもたちが心が揺れる経験をしてくれると嬉しいなと思います。私自身、幼少期に音楽を聴いて感動した記憶はいまも残っています。そのような音楽が心に残る「きっかけ」を作ることのできる音楽家になりたいです。

――この一年間でこれまで8回のアウトリーチ・コンサートを開催しました(計11回開催予定)。プログラムは宮國さんの「手作り」ですが、こだわりのポイントを教えていただけますか。

私のプログラムには、ピアノをたくさん知ってもらうためのたくさんの仕掛けがあります。ピアノの歴史や楽器に関する知識を共有したり、色々なピアノ作品を演奏したり・・・。子どもたちが「ピアノの世界」に入って来られるよう、演奏する曲順にも工夫しています。

――今日(2024年12月14日“インタビュー実施日”)は嵯峨野児童館でたくさんの方々にピアノ演奏を届けることができましたね。

嵯峨野児童館でのアウトリーチの様子            (2024年12月)

今日のアウトリーチでは0歳の赤ちゃんから大人の方々まで、幅広い年齢層の方がいらっしゃいました。特に、非常に近い距離で子どもさんたちがピアノ演奏を聴いてくださり、自分の演奏に対するリアクションを肌で感じることができて嬉しかったです。

 

――2025年3月9日の「ジョイント・コンサート」では、いつものアウトリーチ・コンサートとはまた異なる環境で皆さんに宮國さんのピアノ演奏を聴いていただきます。

京都コンサートホールのアンサンブルホールムラタで演奏させていただけるということで、自分がいま一番取り組みたい作品でプログラミングしました。この1年、アウトリーチ活動を経験したことにより、自分の選曲方法が変わってきたように思います。これまで以上に作品ごとの関連性について考えるようになりました。今回は、水や海連想できるような3曲(ドビュッシー《喜びの島》、スクリャービン《幻想ソナタ》、ショパン《舟》)を選曲しました。

《喜びの島》は、「シテール島への巡礼」という絵画からの印象を受けて作曲されたといわれており、愛に溢れた島へ向かう様子が描かれています。のちの管弦楽曲《海》にも通ずるような色彩感溢れる作品です。

《幻想ソナタ》は、スクリャービンが旅をした際に得たインスピレーションをもとに作曲されたと言われており、作曲家自身の手により、一楽章には「月明かりに照らされた静かな海」、二楽章には「嵐の海」という言葉が書き記されています。

ショパンの《舟》は、ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来していると言われています。晩年の作品でもあり、彼の人生の旅路を映し出しているかのような美しい作品です。

 

――なるほど、3曲ともに水や海に関連する作品なのですね。このプログラムを通して、どのようなことをお客様に伝えたいですか。

宮國さんピアノリサイタル  (京都青山音楽記念館 バロックザールにて)

水のゆらめきや、水面、水の予測不可能な動き、そういう情景をピアノ の音で表現したいです。ピアノで多彩な音色を作ることは易しいことではありませんが、そういうことを追求していくこともまたピアノ演奏の醍醐味の一つでもあります。

――コンサートにお越しくださるお客様にメッセージをお願いします。

刺繍が趣味の宮國さん

私は良い演奏会に行くと、翌日までとても幸せな気持ちが続きます。私も皆様が幸せな気持ちになれるような演奏がしたいです。さらに、私のピアノを聴いていただき、「京都にはこんなアーティストがいるんだな」と興味を持っていただけるきっかけになったら嬉しいです。

――それでは最後に、今後のアウトリーチ活動に関する展望を教えてください。

この1年を通して、試行錯誤を重ねながらプログラムを考えていきました。次の1年は、さらに色々なことに挑戦できるような内容に展開していくことができれば・・・と考えています。どのようなアプローチをすれば、よりたくさんの方々の心に届くか、もっともっと自分で音楽を掘り下げて、さらに「伝える力」を磨いていきたいと思っています。

 

――宮國さん本日はありがとうございました!

 

(2024年12月14日 事業企画課インタビュー)

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第3期登録アーティスト 宮國香菜(ピアノ)インタビュー<前半>(2025.3.9 Join us(ジョイ・ナス)!~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~「ジョイント・コンサート」)

投稿日:
京都コンサートホール
第3期登録アーティスト                 ピアニスト 宮國香菜さん

2024年度から京都コンサートホール第3期登録アーティストとして、アウトリーチ活動を行っているピアニストの福田優花さんと宮國香菜さん。3月9日に開催するジョイント・コンサートに向けて、宮國香菜さんにインタビューを実施いたしました。宮國さんのインタビューを2回に分けてお届けします!

 

前半では、宮國さんご自身のことについてお話いただきました。是非ご覧ください!

 

――まずは、宮國さんはいつごろからピアノを始めましたか?

初めてのエレクトーンの発表会

 3歳から音楽教室に通い、最初はエレクトーンを習いました。ピアノ始めたのは小学校1年生ごろです。

お家にピアノがやってきた日

両親がクラシック音楽が好きで、特に母は私にピアノを習わせたかったようです。なにより、私もピアノが大好きでした。

 

――そうなのですね。いつ頃、クラシック音楽を本格的に学び始めたのですか?

小学校6年生の時だったと思ます。ピアノの先生から「音楽高校(京都市立京都堀川音楽高等学校)でピアノを学ぶことができるよ」と教えていただきました。そして、中学1年生の時、京都市堀川音楽高等学校(以下、堀音)のオープンスクールに行った際に、「ここで音楽を学びたい!」とピンと来たのです。

――その後、堀音に入学されましたが、高校生活はいかがでしたか。

堀音の定期演奏会にてプレゼント係を務める宮國さん

自分の知らないことをいっぱい知っている友人がいて、音楽の話をずっとしていました。そのような環境に身を置くことができて、本当に嬉しくて仕方がなかったです。

――音楽が大好きだったのですね。校生活で印象に残っている思い出はありますか?

大切な友人に出会えたことでしょうか。中学校の担任の先生が「高校に行ったら一生の友達ができるよ」とおっしゃっていました。その時は疑心暗鬼だったのですが、今では「本当だった」と思っています。高校時代に出会った友人は、今でも交流していますし、何でも相談できるような相手です。卒業後、10年ほど経ちますが、会えばすぐに当時の空気感に戻ります。

――ピアニストを目指されたのはいつ頃でしょうか?

高校時代の演奏会

高校2年の時、学校主催のコンサートに出演したことがきっかけだったと思います。先生方にコンサートの出演者として私を選んでいただき、とても嬉しかったです。シューマンの《アレグロ ロ短調 作品8》を演奏したのですが、本番日まで本気でこの作品と向き合いました。図書館でシューマンについて調べたり、シューマンのほかのピアノ作品を聴いたり・・・。なので、この曲は私にとって、今でも特別な作品です。

――さて、宮國さんが師事されたピアノの先生に関するお話もお伺いさせてください。これまで色々な先生と一緒にピアノを学ばれましたね。

堀音での新人演奏会

音楽高校時代に学んだ芝崎美恵先生との出会いは自分にとって大きかったです。芝崎先生はいつも「いま」だけではなく「その先」を見るよう指導してくださいました。「芽が出て花が咲く時期は人それぞれなんだよ」とおっしゃってくださったことは今でも忘れられません。これから先、私がピアノや音楽と長く付き合っていけることを願ってくださいました。

――素敵な先生ですね。そして大学では馬場和代先生に師事されましたね。

馬場先生もとても優しい先生でした。第一に、私のことをいつも信じてくださっていました。ピアノを演奏する私の背中をポジティブに押してくださるような、そんな温かい先生です。馬場先生という大きな味方がいてくださることが、心強かったです。

――次に師事されたのは野原みどり先生と三舩優子先生でしたね。

大学院の修士演奏会

お二人には大学院時代に師事しました。一年目に師事した野原先生は、素敵なオーラにいつもドキドキしていました。以前、演奏会のご案内をお送りすると多忙でいらっしゃるのに来てくださり、とても嬉しかったです。二年目に師事した三先生も素敵な方で、とても親身にレッスンをしてくださいました。卒業後も気にかけてくださり感謝しています。

――たくさんの素敵な先生に師事されたのですね。先生方から学んだことは、現在、宮國さんが生徒さんにピアノを教えられている時に活かされていますか? 

インタビューの様子

現在、私はお子さんから大人まで様々な方にピアノを教えていますが、自分がこれまで学んできたことを還元していきたいと思っています。そうすることによって、自分自身もさらに学ぶことがたくさんあるのです。

 

 ――後半ではアウトリーチ活動やジョイント・コンサートについてお話いただきます。どうぞお楽しみに!

 

(2024年12月14日 事業企画課インタビュー)

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