2024年度から京都コンサートホール第3期登録アーティストとして、アウトリーチ活動を行っているピアニストの福田優花さんと宮國香菜さん。3月9日に開催いたします、ジョイント・コンサートに向けてインタビューを実施いたしました。
インタビュー前半では、宮國さん自身のことについてお聞きしましたが、後半では、アウトリーチ活動やジョイント・コンサートについてお話いただきました。是非ご覧ください!
――これまでの音楽歴について色々なお話をお伺いしましたが、アウトリーチ活動に関するお話もお聞かせください。なぜ、京都コンサートホールの登録アーティストに応募しようと思われたのですか。
京都コンサートホールが大好きだからです。小さい頃に両親がコンサートホールへオーケストラの演奏会などに連れて行ってくれたこともあり、思い入れのある大切な場所です。

大好きなホールと一緒にアウトリーチ活動ができるということが、自分にとってとても良い経験になるだろうと思いました。また、演奏機会を増やしたいと思ったことも応募した理由の一つです。学業を終え、生まれ育った京都の地でより多くの方に音楽をお届けしたいという思いがあり、その点においても魅力的な事業でした。
――子どもたちに生の演奏を届けるという本事業を通して、どのようなことを目指されていますか。

アウトリーチ先の子どもたちは様々です。普段からクラシック音楽を聴いている生徒さんもいれば、そうでない生徒さんもいます。そんな中で、私のピアノ演奏を通して、少しでもたくさんの子どもたちが心が揺れる経験をしてくれると嬉しいなと思います。私自身、幼少期に音楽を聴いて感動した記憶はいまも残っています。そのような音楽が心に残る「きっかけ」を作ることのできる音楽家になりたいです。
――この一年間でこれまで8回のアウトリーチ・コンサートを開催しました(計11回開催予定)。プログラムは宮國さんの「手作り」ですが、こだわりのポイントを教えていただけますか。
私のプログラムには、ピアノをたくさん知ってもらうためのたくさんの仕掛けがあります。ピアノの歴史や楽器に関する知識を共有したり、色々なピアノ作品を演奏したり・・・。子どもたちが「ピアノの世界」に入って来られるよう、演奏する曲順にも工夫しています。
――今日(2024年12月14日“インタビュー実施日”)は嵯峨野児童館でたくさんの方々にピアノ演奏を届けることができましたね。

今日のアウトリーチでは0歳の赤ちゃんから大人の方々まで、幅広い年齢層の方がいらっしゃいました。特に、非常に近い距離で子どもさんたちがピアノ演奏を聴いてくださり、自分の演奏に対するリアクションを肌で感じることができて嬉しかったです。
――2025年3月9日の「ジョイント・コンサート」では、いつものアウトリーチ・コンサートとはまた異なる環境で皆さんに宮國さんのピアノ演奏を聴いていただきます。
京都コンサートホールのアンサンブルホールムラタで演奏させていただけるということで、自分がいま一番取り組みたい作品でプログラミングしました。この1年、アウトリーチ活動を経験したことにより、自分の選曲方法が変わってきたように思います。これまで以上に作品ごとの関連性について考えるようになりました。今回は、水や海を連想できるような3曲(ドビュッシー《喜びの島》、スクリャービン《幻想ソナタ》、ショパン《舟歌》)を選曲しました。
《喜びの島》は、「シテール島への巡礼」という絵画からの印象を受けて作曲されたといわれており、愛に溢れた島へ向かう様子が描かれています。のちの管弦楽曲《海》にも通ずるような色彩感溢れる作品です。
《幻想ソナタ》は、スクリャービンが旅をした際に得たインスピレーションをもとに作曲されたと言われており、作曲家自身の手により、一楽章には「月明かりに照らされた静かな海」、二楽章には「嵐の海」という言葉が書き記されています。
ショパンの《舟歌》は、ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌に由来していると言われています。晩年の作品でもあり、彼の人生の旅路を映し出しているかのような美しい作品です。
――なるほど、3曲ともに水や海に関連する作品なのですね。このプログラムを通して、どのようなことをお客様に伝えたいですか。

水のゆらめきや、水面、水の予測不可能な動き、そういう情景をピアノ の音で表現したいです。ピアノで多彩な音色を作ることは易しいことではありませんが、そういうことを追求していくこともまたピアノ演奏の醍醐味の一つでもあります。
――コンサートにお越しくださるお客様にメッセージをお願いします。

私は良い演奏会に行くと、翌日までとても幸せな気持ちが続きます。私も皆様が幸せな気持ちになれるような演奏がしたいです。さらに、私のピアノを聴いていただき、「京都にはこんなアーティストがいるんだな」と興味を持っていただけるきっかけになったら嬉しいです。
――それでは最後に、今後のアウトリーチ活動に関する展望を教えてください。
この1年を通して、試行錯誤を重ねながらプログラムを考えていきました。次の1年は、さらに色々なことに挑戦できるような内容に展開していくことができれば・・・と考えています。どのようなアプローチをすれば、よりたくさんの方々の心に届くか、もっともっと自分で音楽を掘り下げて、さらに「伝える力」を磨いていきたいと思っています。
――宮國さん本日はありがとうございました!
(2024年12月14日 事業企画課インタビュー)
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