京都コンサートホール×京都府立図書館 特別コラボレーション ~ドビュッシー没後100年特別企画~

投稿日:
京都コンサートホール

2018年に没後100年を迎えた、フランス人作曲家のクロード・ドビュッシー (1862-1918)。
京都コンサートホールでは『光と色彩の作曲家 クロード・ドビュッシー』と題して、ドビュッシーにまつわる3公演スペシャル・シリーズを今秋に開催します。
現在、さまざまなところで取り上げられているドビュッシーですが、京都府立図書館では、5/25(金)~8/22(水)まで(奇遇ですが、8/22はドビュッシーの誕生日です)、ドビュッシーに関する以下の企画を展開しています。

◆ドビュッシー関連資料コーナーの設置

ドビュッシー関連資料コーナー(閲覧室)

◆エントランス展示の設置
(京都コンサートホール主催『光と色彩の作曲家 クロード・ドビュッシー』のチラシも設置していただいています)

エントランス展示(府立図書館入口付近)

ナクソス・ミュージック・ライブラリーで聴くドビュッシー音楽会(6/30(土)開催)

今回、京都コンサートホールと京都府立図書館では「特別コラボレーション」として、ドビュッシーにまつわるミニ講座を協同してお届けすることになりました。日程は8/12(日)、場所はもちろん京都府立図書館です!詳細が決まり次第、皆様にお知らせさせていただきます。
そこで京都コンサートホール事業企画課は、京都府立図書館で行われている多彩な企画について、図書サービス部長の堀奈津子さんからお話を伺うことにしました。


クロード・ドビュッシー

京都コンサートホール事業企画課(以下、KCH):堀さんこんにちは!今日はどうぞよろしくお願い致します。
今回、このようなコラボレーションの機会をいただくことが出来て非常に嬉しく思います。京都府立図書館ではなぜドビュッシーを取り上げようと思われたのですか?

堀さん:去年あたりから京都府立図書館のエントランス展示では、「お茶」をテーマにしたり、クリムト没後100年をテーマにしたり、さまざまな展示を行ってきました。今回はドビュッシーのメモリアルイヤーということで本を展示したのですが、やはり「音楽」が大事ですよね。ですので、本だけではなく、何か彼の音楽を聴くことが出来るような形で…ということを考えました。そこで、「NAXOS(ナクソス)*」というクラシック音楽データベースを使って何かしたいな、と思いついたのです。
京都府立図書館にはナクソスを使うことが出来るのですが、うちではあまり使われていなくて。これまでこういうことをやったことはなかったのですが、今回は作曲家ということで、本の展示+音楽の紹介、という形になりました。
*クラシック音楽を中心に、CD121,202枚の音楽を全曲再生できる配信サービスのこと。世界中の図書館で導入されている。

KCH:来館者の反応はいかがですか。

堀さん:やっぱりこのような特別展示を行うと来館者にも興味を持ってもらえますね。「カメラで写真撮って良いですか?」とか、「これを企画した人に会って話がしたい」とか言ってくださる方もいらっしゃいます。もちろん、そのような方が毎日来るというわけではないのですが、手応えは感じますね。

KCH:さっきもエントランスで「ドビュッシーの楽譜が飾ってある!」とお話されている来館者の方がいらっしゃいました。

堀さん:エントランスを通りかかった人からは「これ、何やろう」とか「ナクソスの音楽会って何するの?」とか、そういうお声を頂いております。「ドビュッシーって誰?」っていう声もたまに聞こえてきますが(笑)

KCH:そうやって、新しいものを知るきっかけになっていることはとても嬉しいことですよね。
ところでさきほどから話に出ている「ナクソスの音楽会」とはどのようなものなのですか?

堀さん:京都府立図書館では「ナクソス」という音楽データベースを使用することが出来ます。普段から申し込みさえしていただければ2階の閲覧室内で自由に音楽を聴いていただくことが出来るのですが、あまり使われていなくって。ですので以前から、もう少しいろいろな方に使っていただきたいな、クラシック音楽に馴染んでいただきたいなと思っていました。
今回の音楽会では、ナクソスを使ってドビュッシーの音楽ばかりご紹介します。
そして参加者の方々にドビュッシーの音楽を通してナクソスを体験していただき、身近に彼の音楽を感じていただけることで生の音楽にも興味を持っていただけるのではないかな?と思っています。

KCH:音楽会で聴く予定の音楽リストもありますね。大勢の方に来ていただけると良いですね。

堀さん:たくさんの方がチラシを持って帰ってくださるので、ぜひ来ていただきたいなと思います。

KCH:ところで、堀さんはフルートを演奏なさるんですよね。堀さんオススメのドビュッシー作品はありますか?

堀さん:高校生のときに衝撃を受けた作品はフルート独奏曲の《シランクス》と、管弦楽曲の《牧神の午後の前奏曲》ですね。この2曲は絶対に、私の中では外せない作品なんです。この2曲を知ったときの衝撃は、膝が崩れそうな感覚というのでしょうか、それくらいショッキングなものでした。そのときの感覚が忘れられないので、何がなんでもこの2曲は皆様にご紹介させていただきたいと思っています。

KCH:どんなところに衝撃を感じられたのですか。

堀さん:フルートをやっていたとき、バッハなどの比較的古典的な作品を練習していたんですけど、高校生になって吹奏楽に入ってから同級生たちが「これ聴いてみて」と、いろいろな楽譜やLPを貸してくれるんです。その中にこのドビュッシー2作品が入っていたのですが、「なんだこれは!味わったことのない曲だな」とビックリしました。
ドビュッシーはそんな多感な時代に出会った作曲家ですから、私にとって常に特別な存在です。

KCH:京都府立図書館に所蔵のあるドビュッシー関連の本もリストにされていますが、こちらのオススメもありましたら教えてください。

京都府立図書館 図書サービス部長 堀奈津子さん

堀さん:そうですねぇ…このリストの中で言いますと、坂本龍一が総合監修・選曲・執筆している『commmons:schola vol.3 ドビュッシー』でしょうか。
あとは、ドビュッシー自身が書いた音楽論があるのですが、ずいぶん昔にそれを訳した本があるんです。やっぱり昔の本って味わいがそれなりにあって、そういう古いバージョンを読んでいただけると、それなりに面白いかなと思います。

KCH:確かに、訳される方によっても雰囲気って変わってきますよね。
今年、わたしたちはドビュッシー・シリーズを企画しているのですが、実は「ドビュッシーってあまり知らないなぁ」っていう人ってけっこういるんです。《月の光》や《アラベスク》なんかを聴くと『あぁ、この曲を作曲した人か!』と分かってもらえるとは思うのですが。
音楽を聴いて知っていただくということももちろん大事なのですが、音楽を聴く前に、あるいは音楽を聴きながら関連する本を読むと、もっと理解が深まります。
京都府立図書館が所蔵する本のリストの中で、ドビュッシーを全く知らない方々でも、すっとナチュラルに入れるような本もたくさんあるんです。例えば、ピアニストの青柳いづみこさんの『ドビュッシーとの散歩』とか『指先から感じるドビュッシー』などは、とても素敵な文章で読みやすいです。楽しくドビュッシーについて知ることが出来ると思います。
ドビュッシーの作品と人生を端的に知ることが出来る一冊としては、松橋麻利さんの『ドビュッシー 作曲家・人と作品』がぴったりだと思います。情報が一冊にぎゅっと凝縮されているんですよ。
また、写真がふんだんに用いられていて視覚的にも楽しめる本は『牧神の午後 マラルメ・ドビュッシー・ニジンスキー』ですね。

堀さん:オルセー美術館が出している本ですね。ニジンスキーが牧神の衣装を纏っている写真が掲載されています。

KCH:あとは、ドビュッシー研究の第一人者だったフランソワ・ルシュールが書き残した大作『伝記 クロード・ドビュッシー』は、かなり専門的な内容ですがドビュッシーを深く知ることが出来る一冊になっています。

…このように、ぜひとも京都府立図書館のドビュッシーに関する蔵書を読んでいただき、予習をしていただいて、京都コンサートホールの演奏会に来て「新しいドビュッシー」を発見していただけると非常に嬉しいですね。

堀さん:事前学習をちょっとしてから、ある程度知識を持って、実際に生の音楽を聴いて…っていう感じですね。

KCH:はい。とっても良い流れですよね(笑)

堀さん:なんだかコラボレーションっていう感じがしますよね!(笑)

(2018年6月3日(日)京都コンサートホール事業企画課@京都府立図書館)


スペシャル・シリーズ『光と色彩の作曲家 クロード・ドビュッシー』について

2018年、フランス近代最大の作曲家クロード・ドビュッシー (1862-1918) が没後100年を迎えました。 ドビュッシーは、形式・和声・色彩の面においてそれまでの伝統的規範を打ち破り、斬新な作曲法と巧みな内面的心理描写で数々の管弦楽作品やピアノ曲、歌曲などを書き残しました。 ロマン派時代にピリオドを打ちつつ、近現代の扉を開けた人物であるといっても過言ではなく、ドビュッシーから影響を受けた後世の作曲家は数知れません。
京都コンサートホールでは、京都・パリ友情盟約締結60周年/日仏友好160周年の年でもある今年、ドビュッシーにまつわる3つのコンサート・シリーズを特別企画しました。  それぞれ「初級編」・「中級編」・「総括編」と位置づけられており、段階的にドビュッシーを知ることの出来る仕組みになっています。  ドビュッシーについて知らない方から専門的に学ぶ方まで幅広い人びとにお楽しみいただけると同時に、どの回から聴いていただいてもドビュッシーを身近に感じていただける内容でプログラミングされています。

[日時]2018年10月13日(土)、11月10日(土)、11月23日(金・祝)各回とも14時開演
[会場]京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ
[主催]京都市/京都コンサートホール(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)
[協力]株式会社 進々堂
[後援]村田機械株式会社・朝日新聞京都総局・京都新聞・在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本・産経新聞社京都総局・日本経済新聞社京都支社・毎日新聞京都支局・読売新聞京都総局
α-STATION エフエム京都・KBS京都
[助成]文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会