[1]ジャン=フィリップ・メルカールト(Vol.45[2011]・Vol.68[2021]出演)
私が初めて京都コンサートホールのコンサートで演奏させていただいてからちょうど10年目にあたる今年、再び演奏の機会をいただけたことをとても喜んでいます。このホールのパイプオルガンは、日本だけでなくアジアでも最も大規模な楽器の一つですので、あらゆる時代の作品を弾くことができます。特にヨーロッパ人にとって珍しいのは、4つのストップが日本の伝統的な楽器を模倣したパイプだということです(笙、尺八、篠笛、篳篥)。10年前のコンサートの際は、なんとかしてこれらの音色を使いたいと思い、ベルギー人作曲家による俳句にインスピレーションを受けた4つの作品を演奏しました。最初の作品は与謝蕪村の俳句によるものですが、ちょうどこのコンサートの前日に、私は銀閣寺を訪ねて蕪村が描いた襖絵を観てきました。この経験は、私自身が作品に向き合い演奏するためにも大変重要な機会となりました。忘れられない思い出です。
京都の聴衆の皆様が、今後も長くこのクライス・オルガンを楽しむことができますように、そしてこのコンサートホールが、多くのオルガニストの皆さまにとって様々なオルガン音楽の美しさをここで披露する場であり続けるよう心から願っています。
ジャン=フィリップ・メルカールト


Vol.45(2011年9月24日)の模様
ジャン=フィリップ・メルカールト Jean-Philippe Merckaert
ベルギー生まれ。パリ国立高等音楽院でオルガンをオリヴィエ・ラトリー、ミシェル・ブヴァールに師事し、2005年プルミエ・プリを得て卒業。ベルギーではブリュッセルのベルギー王立音楽院にてジャン・フェラーにオルガンを師事し、2008年修士号を取得。モンス王立音楽院にてクラシック作曲法を学び、2007年修士号を取得。2007年、フライベルクにおけるジルバーマン国際オルガンコンクール第2位、2009年、ブルージュ国際古楽コンクールオルガン部門第2位受賞。 2003年から1年間札幌コンサートホールKitara専属オルガニスト、2011~14年まで所沢市民文化センター ミューズ ホールオルガニストを務めた。現在、那須野が原ハーモニーホールオルガニスト、聖グレゴリオの家宗教音楽研究所講師、片倉キリストの教会オルガン教室講師。近年、オーケストラ曲の編曲にも力を入れており、様々な演奏会で好評を得ている。CDは「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ ライプツィヒ手稿からのコラール集(2枚組)」(スイス)、「フランク、ドビュッシー、サン=サーンス オルガン編曲集」(パリ)、「シャルル=マリー・ヴィドール オルガン交響曲 第5番」(那須野が原ハーモニーホール)をリリース。