【フィラデルフィア管弦楽団 特別連載①】受け継がれる伝統とフィラデルフィア・サウンド

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京都コンサートホール

アメリカの“ビッグ5”の一つである名門「フィラデルフィア管弦楽団」が、本年(2019年)11月に14年ぶりの京都公演を行います。

記念すべき公演をより楽しんでいただき、そして世界的アーティストたちの魅力を知っていただくため、本ブログで特別連載を行います。

1回目は、フィラデルフィア管弦楽団の中で脈々と受け継がれる“フィラデルフィア・サウンド”の魅力に迫ります。

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シカゴ響、ニューヨーク・フィル、ボストン響とクリーヴランド管とともに、アメリカの「ビッグ5」と称される名門オーケストラ「フィラデルフィア管弦楽団」(以下「フィラデルフィア管」)。ストコフスキーやオーマンディなどの巨匠たちによって磨かれた美しく輝かしい音は「フィラデルフィア・サウンド」と称賛され、世界中で長く愛されています。そしてそのサウンドは、各時代の団員たちにより次世代へと伝えられ、今も健在です。

(C)Jessica Griffin

そんな伝統を大切にするオーケストラが、2012年秋からの第8代音楽監督として、30代半ばの若手指揮者ヤニック・ネゼ=セガンを指名したことは衝撃的なニュースとなりました。地元や伝統を大切にする彼の人気は絶大で、既に2026年8月までの契約延長が決まっています。ネゼ=セガンの「フィラデルフィア・サウンド」との出会いは、幼い頃に聞いたオーマンディとフィラデルフィア管の録音(チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」)で、音楽家を志すきっかけの一つになったと言います。かつてネゼ=セガンは、フィラデルフィア管について次のように語っています。

「華麗なるフィラデルフィア・サウンド」は、ご存知の通りフィラデルフィア管が誇るかけがえのない遺産であり、他のオーケストラには決して真似することのできない輝かしい個性です。

初めてフィラデルフィア管を振った時には、「サウンドに強烈な個性をもちながらも、レパートリーに応じてその個性を変化させることのできる、万能で柔軟なオーケストラ。この楽団と組んだらきっとどんな冒険もできるだろう!」と思い興奮しました。

フィラデルフィア・サウンドを通して、尊敬するストコフスキーやオーマンディ、ムーティ、サヴァリッシュ、エッシェンバッハ、デュトワらが育んだ楽団の伝統を、常に肌で感じることができます。「華麗なるフィラデルフィア・サウンド」に触れることそれ自体が、私のモチベーションとインスピレーションを日々高め、豊かにしてくれています。

(2014年来日公演プログラム・インタビューより)

ヤニック・ネゼ=セガン(C)Chris Lee

一時期アメリカの首都だったこともあるフィラデルフィア。その美しい街並みから「アメリカの京都」とも称されています。そんな古都の文化的シンボルといえるフィラデルフィア管が、ネゼ=セガンに率いられ、2019年11月に14年ぶりの京都公演を行います。世界を魅了し続ける「フィラデルフィア・サウンド」をぜひお聴きください。

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当連載では、様々な視点から、フィラデルフィア管弦楽団の来日公演の魅力に迫ってまいります。どうぞ今後もお楽しみに!

チケットは、5月12日(日)から会員先行発売、5月19日(日)から一般発売いたします。公演情報はこちら