2024年3月9日、古楽オーケストラの名門「18世紀オーケストラ」が京都にやってきます!18世紀オーケストラの来日は11年ぶり、京都公演はホール開館(1995年)以来、実に29年ぶりの開催となります。
期待が高まる本公演をバックアップしてくださるのが「株式会社マツシマホールディングス」です。
MAZDAをはじめ、Mercedes-BenzやVolkswagen、Audi、BMW等の正規ディーラーとして車を販売するだけでなく、各種中古車の販売や自動車の修理・整備から伝統工芸、飲食店、アート、クリニック、スポーツなど、幅広い分野で事業内容を展開している「株式会社マツシマホールディングス」。
今回は、社長でいらっしゃる松島一晃様に特別インタビューを行い、様々なお話を伺いました。
(聞き手:高野裕子 京都コンサートホールプロデューサー)
高野:こんにちは。今日は、マツシマホールディングス(以下「マツシマ」)の新社屋でお話を伺います。大きな窓からたくさんの光が差し込む、明るい素敵なオフィスですね!
さっそくですが、貴社の会社概要を教えていただけますか。
松島一晃社長:MAZDAのディーラーから始めた本社は今年で創業69年目となり、来年の3月で70年目を迎えます。京都には100年を超える老舗の会社がたくさんありますから、70年と言ってもまだ半人前かもしれません。でも70年も続けてやってこられた理由は、どんどん新たなことに挑戦し変化してきたからだと思っています。
先ほども申しましたように、最初はMAZDAのディーラーだけをやっていたのですが、そこからBMWであったりMercedes-BenzやVolkswagenなど、輸入車も取り扱うようになりました。いまから30年くらい前の話です。今では複合ディーラーという存在はあまり珍しいものではないかもしれませんが、当時としては世界的にも珍しかったのです。
今は車だけではなく、アートだったりスポーツだったり、飲食だったり、それぞれ広く浅くではありますが、様々な事業を京都を中心に展開しております。多彩な価値をお客様に提供できるような会社を目指しています。
高野:マツシマのHPに社長が掲げていらっしゃる理念が掲載されていますね。「全員でつくる家族と社会に誇れる会社」とありますが、これはどのような思いで掲げられた理念になりますか。
松島社長:クルマってどこでも買えますよね。マツシマで買っても、ほかのディーラーで購入しても、BMWだったら同じBMWのクルマです。じゃあ、マツシマでわざわざクルマを買う理由って何でしょうか。ただクルマを買う・売るという関係だったら別にマツシマじゃなくても良いですよね。でも、そんな中で「クルマを買うならマツシマが良い」と仰ってくださるお客様がいるわけです。それは、うちの会社が人間と人間の感情的な繋がりを大事にしているからだと思っています。クルマを買うときって、この担当者が良いな、この店の雰囲気が良いな、この会社が好きだな、と言ったような「感情的なもの」が大きいでしょう。
それは会社と従業員という関係性でも同じことで、たんに食べていくだけで良い、生活できればそれで良い、と思うのであれば、別にうちの会社でなくても、他の会社で働いても一緒です。でもここで働くからには「マツシマホールディングスだからこそ働きたい」と思ってほしいですよね。そういう意味で、従業員だけではなく家族までもが社会に対して「マツシマで働いている」ということを誇ることができる会社にしたいと考えています。これは非常に重要なことだと思っています。
高野:「社会」という言葉を使われる会社はたくさんあると思うのですが、「家族」という言葉を理念に掲げられる会社ってなかなかないように思います。社員だけではなく、その家族も大切にする会社ということですものね。社長のお言葉からは、従業員お一人おひとりを大切に考えていらっしゃることがよくわかります。
松島社長:いまマツシマでは600名ほどが働いているのですが、「600名の従業員」ではなく、一人ひとりの従業員に向き合っていくことを大事にしたいと考えています。その一人の従業員の人生や価値観に向き合っていくためには、やはり本人だけではなく家族も大切にしなければいけません。
昔からマツシマでは社員旅行に家族を連れて行く、ということをやっています。
高野:家族を連れて行く社員旅行!びっくりしました!
松島社長:やっぱり、マツシマで働くことを家族も応援してくれないと、仕事に対する活力ってわかないですよね。従業員だけではなく家族も「この会社で働けてよかった」と思ってもらえたら、本人の業績にも良い影響を与えると思うのですよ。会社って、普段はその本人の姿しか見えないものですけど、その人の家族の存在って本当に大きいですよ。
高野:松島社長が先ほどから「人と人との繋がり」をキーワードにお話をしてくださっていますが、これは「(クラシック)音楽」にも共通して当てはまることだなと感じながら拝聴しておりました。我々がコンサートを開催する理由はたくさんありますが、基本は「音楽を介してたくさんの人と人を繋げよう」という気持ちからスタートしています。マツシマの理念と非常に近いものがありますよね。
貴社は、Bリーグ所属のプロバスケットボールチームである「京都ハンナリーズ」をはじめ、スポーツやアート、文化芸術等をたくさん応援なさっています。当ホールの主催事業「18世紀オーケストラ京都公演」(2024年3月9日開催)も今回ご協賛くださいますが、このような社会活動も貴社の理念に通じるものがあるのでしょうか。
松島社長:そうですね。例えば、クルマをたんなる「移動手段」と考えるのであれば、別にどんなクルマだって良いと思っています。でもわざわざ「BMWが良い」とか「ベンツが良い」など、こだわりを持って購入される方がたくさんいます。中には、納車まで1年、2年、3年かかっても「待つ」と仰るお客様もいるくらいです。そのような方々は、クルマに対して機能的な価値だけではなく、こだわりであったり自己表現であったりといった“情緒的な価値”を求めていらっしゃいます。この“情緒的・感情的価値”の究極が、スポーツや文化芸術、音楽なのではないかと考えているのです。マツシマでクルマを購入されたお客様に、特別な意味を持つ感情的な価値を提供すると、さらに喜んでくださいます。それが、ゆくゆくは会社の成長にも繋がっていくのではないか、と思っています。
高野:社長が応援されているスポーツや文化芸術は、すべて「京都」に関係するものばかりですね。
松島社長:はい。ここ京都という場所で商売をさせていただいているということに対して、とても恵まれているな、ありがたいな、と感じています。ですので、地元のスポーツやアートを応援することで、京都に恩返しができたらいいなと思っています。
スポーツにしてもアートにしても、本当に素晴らしいものなのに、まだまだ知らない人や触れたことがない人ってたくさんいるでしょう?大切なことは、知らないもの・ことでも一度は体験してみることだと思っています。
このような「(スポーツやアートに対して)入り口を作る役割」は、京都で広く長く商売をさせていただいている我々だからこそできることなのではないかと考えています。
高野:京都で文化芸術に携わる人間として、松島社長のような考え方を持っていらっしゃる経営者が地元におられるということは非常に心強く、頼もしく感じます。文化芸術は別になくても生きていける分野です。クラシック音楽も、別に生演奏でなくてもいいし、CDを流していても良いわけです。しかし、生の文化芸術に触れるということは、確実にその人の心や人生を豊かにします。マツシマさんがわたしたちを応援してくださるということは、結果的に、京都というまち全体を元気にするということに繋がっていると思っています。あらためまして、わたしたちの活動を応援してくださり、心から感謝申し上げます。
さて今回「18世紀オーケストラ」という古楽オーケストラの公演にご協賛してくださいましたが、このコンサートについてどのようなことを期待されていますか。
松島社長:世界的なアーティストが京都に来る、貴重な機会ですよね。「18世紀オーケストラ」は古楽の世界的パイオニアですし、ピアニストのユリアンナ・アヴデーエワやトマシュ・リッテルは世界を代表するショパン弾きです。でも、彼らを知らない人々ってたくさんいますよね。彼らが京都コンサートホールに来ることさえも知らない人がたくさんいるでしょう。ですので、応援する側としては「このような素晴らしい機会が京都でありますよ」ということを、できるだけたくさんの方々に知っていただきたいです。あまり堅苦しく考えず、「なんか凄そうな人が京都に来るんやなぁ。ほな、行ってみよか」くらいの軽い感じで京都コンサートホールにお越しいただき、演奏を聴いていただいた後「なんや、クラシックってええな。オーケストラってええな。音楽ってええな」と思っていただけると良いなと思っています。そうしたら、その先にも繋がっていきますしね。
できれば、若い方々にもたくさんご来場いただけるといいですよね。
高野:本当にそうですよね。おそらく、普段からクラシック音楽を聴かれたり、クラシック音楽がお好きな方々は、このコンサートの存在を知ってくださっているのではないかと思います。でも最近、常々思うことなのですが、難しいのは「それ以外」の方々の手元にもコンサート情報を行き渡らせることです。クラシック音楽ファンの裾野をこれまで以上に広げていくためには、この「これまでクラシック音楽に興味のない人々」にも京都コンサートホールの存在を知っていただき、実際にコンサートにお越しいただくことが必要だと考えています。
松島社長:クラシック音楽やコンサートホールって敷居が高いと思うのです。ですので、みなさんに「意外と身近なものなんだな」と感じてもらえるような仕掛けをしていかないといけないんじゃないかな。これはクルマも一緒で、手間をかけるわりには結果がなかなか出ないことも多く、「これだけ広報したのに、1人しか来てへんやん」ということも多々ありますが、その積み重ねが大切だと思っています。
SNSを使った広報も大切なのですが、デジタルだけでは伝わらないこともたくさんあります。例えばクルマでしたら、ネットで見るだけではなく、実際にクルマを見て・触ってもらうだけで返ってくる反応が全く異なります。自らの手や足を使ってお客様に届けていく情報って大切です。先ほどからお話している“感情的な部分”にも繋がっていると思っています。
高野:異分野のエキスパートの方からのアドバイスは大変貴重です。普段わたしたちが見えていない角度からのご意見ですので、とても参考になります。広報については、SNSをはじめデジタルに頼りがちなので、松島社長が仰るような「自らの手や足を使って届けていく情報」をあらためて見直してみたいと思います。
さて、最後に「18世紀オーケストラ京都公演」に行こうかどうしようか迷っていらっしゃるお客様に、松島社長から一言メッセージを頂戴できますでしょうか。
松島社長:もし「18世紀オーケストラ」の演奏を聴いたことのない方々がいらっしゃるとしたら、一度ぜひご鑑賞いただきたいと思います。私は小さい頃からクラシック音楽とは縁遠い環境で育ってきたので偉そうなことは言えないのですが、でもやっぱり、生で鑑賞すると心が揺れるのですよね。ホールに鳴り響く音を聴いていると、身も心も音楽と一体になれる感覚を抱きます。
もうずいぶんと回復してきましたが、一時期はコロナでホールに行くことすらできない時期が続きました。リアルに心を揺らす・動かすことのできる体験が少なくなってきた今、生演奏を聴いていただき、もう一度、たくさんの方々に心から感動する体験をお届けしたいです。一人でもたくさんのお客様がコンサートにお越しくださったらいいなと思っています。
高野:わたしもそう思っています。間違いなく素晴らしい演奏会になると思いますので、わたしたちも公演当日まで広報活動に励んでいきます。
今日はお忙しいところ、貴重なお時間をいただきまして誠にありがとうございました!
マツシマホールディングス 代表取締役社長
松島 一晃(まつしま・かずあき)
1986年生まれ、京都府出身。2009年 東京海上日動火災保険株式会社に就職。14年 父が経営する株式会社マツシマホールディングスに転職。16年 専務取締役就任。17年 代表取締役専務就任、株式会社A・STORY創業。19年 株式会社マツシマホールディングス代表取締役副社長、22年 同社代表取締役社長に就任。
★チケット好評販売中!!★
「The Real Chopin × 18世紀オーケストラ 京都公演」
[日時] 2024年3月9日(土)14:00開演(13:15開場)
[会場] 京都コンサートホール 大ホール
[出演]ユリアンナ・アヴデーエワ(第16回ショパン国際コンクール優勝)、トマシュ・リッテル(第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール優勝)、18世紀オーケストラ
[使用楽器]
1843年製 プレイエル マホガニーケース
製造番号No.10456(タカギクラヴィア所有)
[曲目]
モーツァルト:交響曲第35番 ニ長調 K.385「ハフナー」
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21(リッテル)
藤倉大:Bridging Realms for fortepiano(第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクール委嘱作品/日本初演)(アヴデーエワ)
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11(アヴデーエワ)
[チケット料金]
一般 S 13,000円 A 11,000円 B 9,000円 C 7,000円
*会員 S 12,000円 A 10,000円 B 8,000円 C 6,000円
*会員:京都コンサートホール・ロームシアター京都Club及び京響友の会会員が対象です。
公演の詳細はこちらから⇒https://www.kyotoconcerthall.org/orchestra18c_2024/