【第1期登録アーティスト】ジョイント・コンサートに向けて④(DUO GRANDE ヴィオラ奏者・朴梨恵)

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京都コンサートホール

2019年度よりスタートした「Join us(ジョイ・ナス)! ~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~」は、初年度1年間、京都コンサートホール登録アーティストと共にアウトリーチ活動を京都市内小学校にて展開しました。

1年間の活動の締めくくりとして、2020年3月に予定していた「ジョイント・コンサート」は公演中止となりましたが、2021年3月7日に1年越しで開催することとなりました。

本ブログでは、登録アーティストたち3組4名の昨年のコロナ禍での活動について、そして「ジョイント・コンサート」に向けての思いを紹介しております。
最終回は、DUO GRANDE(弦楽デュオ)の朴梨恵さんです。ぜひご覧ください。

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©KOHAN

みなさま、こんにちは。DUO  GRANDEの朴梨恵です。

お元気にしていらっしゃるでしょうか。
去年も、今も・・どなたにとっても気遣い・気苦労の絶えない時間となっていると思います。
本当に、大変な1年です。

アウトリーチ活動が昨年一年間中止になりました。京都市民のみなさまの中で、登録アーティストのメンバーのことを心配してくださっているという声が届いています。
感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

昨年、多くの活動が中止となり、国の助成金をはじめ、京都府や京都市、文化を支えようとされる企業様・個人様の援助等により、文化活動を続けることができました。

もちろん常日頃から思うことですが、このような事態になって改めて、文化や芸術、音楽というのは助けがなくては生き残ることが難しい分野で、いかに多くの方の力によってこの長い歴史は支えられているかということを痛感しました。
自分たちの力ではどうしようもない状況でした。

特に、京都は次から次へと『今何が必要か』と時期毎に支援策を考えてくださり、そのときその時必要な分をたくさんの方々に分配されていたと思います。
実際にどこよりも早く、5月に京都市が「京都市文化芸術活動緊急奨励金」を立ち上げてくださったことには、とても安堵し励まされました。アーティストのモチベーションをとにかく下げないように、という素早いご支援とお計らいがあったのでは、と思っております。
京都のみなさまの文化への理解に対して、尊敬するとともに、深く感謝しております。

多大なご協力をいただき、歴史ある分野に自分が携わっているという自覚を持つことができた昨年1年。これから私も何かその助力となるように、背筋が伸びる思いでおります。どのような形で返していけるのか、手探りではありますが引き続き活動していきます。

さて、京都コンサートホールのアウトリーチ活動に参加させていただいていることも、そして私がそもそも音楽活動をしている動機も、どちらも『クラシック音楽の魅力を知らない人にその魅力を知ってほしい』という思いからです。
私は、クラシック音楽は「とてもわかりやすいもの」ではないと思っています。4才からヴァイオリンを始め、楽器を練習することを好きになったのが10才頃・・・音楽の本当の魅力にたどりつけたのは、もっともっと後のことです。その魅力は私を助けてくれて、今では励ましてくれる存在となりました。そして音楽は、ありがたいことに底なき世界です。無限の世界があります。
多くの方々にとって、そういう存在のものがあればいいだろうなと、思っています。

とはいうものの、クラシック音楽を知らない人にとって、いま演奏会に出かけることは、感染症の心配など、きっと恐怖でしかなく、混雑のなか出かけ、よくわからない世界の扉を開くことは難しいだろうなと、正直思っています。

一方でこの状況下でも、コンサートに足を運ぶなど、どうしても音楽が必要と感じて、音楽を聴くことを精神の糧としている方が、思った以上にたくさんいらっしゃるということがわかりました。アンケートやブログなどから、その気持ちを伝えてくださった方がたくさんいらっしゃいました。

音楽を本当に必要としている方にとって、癒しの時間となり、心がワクワクする時間となるならば、それはとても嬉しいことではないかという気持ちで、今は仲間と音楽を作りあげています。これは、きっと一生音楽と携わっていくであろう私の中で音楽をする大きな動機となりました。

この一年、中止になったアウトリーチ活動。今年一年、子どもたちはどれだけ多くのことを我慢しなければいけなかったのだろうと心を痛めていました。
私が経験することのできたこと、そして人と関わってきたからこそ素晴らしいと思える「学生時代特有の思い出」を、過ごすことができなかったと思います。せっかくの機会に子どもたちと音楽を共有できなかったことも残念でした。給食、休み時間の雑談、移動教室、特別なイベント‥
きっと、子どもたちは大人たちの心配をすり抜けて、何食わぬ顔で、面白いことを見つけて明るく過ごしている!!!と信じてはいるのですが、やはり経験させてあげたいことをさせてあげられないというこの状況は、とてももどかしいものです。

そして、3月7日に開催する「ジョイントコンサート」は、DUO  GRANDEにとってもとても久しぶりの公演となります。

2019年度、アウトリーチ先の小学校で大人気だった『魔法の笛』のコーナーを、一般のみなさまにも見ていただけることがとても楽しみです。小学生たちはとても大きな反応を見せてくれました。ホールでのみなさまの反応を想像すると、こちらはなんだか笑えて来ちゃいます。みなさま大人でしょうし・・笑!よろしければ、子供心を思い出して聴いていただければと思います。

ヴァイオリンの上敷領さんとたくさんのリハーサルを重ねて作りあげたプログラムです。信頼しあえる2人だからこその「音楽の会話」や「音の重なり」・・・たった2台の旋律楽器ですが、存分にその良さを楽しんでいただけるように準備しています。

会場でみなさまにお会いできること、心より楽しみにしております。

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★ジョイント・コンサートに向けて
①ピアニスト・田中咲絵
②ヴァイオリニスト・石上真由子
③DUO GRANDE ヴァイオリニスト・上敷領藍子

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