【第1期登録アーティスト】ジョイントコンサートに向けて①(ピアニスト・田中咲絵)

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アンサンブルホールムラタ

2019年度よりスタートした「Join us(ジョイ・ナス)! ~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~」。

初年度の2019年度は1年にわたり、京都コンサートホール登録アーティストの3組(石上真由子さん、DUO GRANDE[上敷領藍子さん・朴梨恵さん]、田中咲絵さん)と共に京都市内の小学校をまわり、たくさんの子どもたちに生演奏を届けることができました。その締めくくりとして2020年3月1日に「ジョイント・コンサート」を開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により直前に公演中止となりました。
2020年4月からの2年目のアウトリーチ活動も中止を余儀なくされましたが、2021年3月7日に、1年越しでジョイント・コンサートを開催いたします(※チケットは完売)。

登録アーティストたち3組4名はこの1年間、自分の内面を見つめなおす時間として前向きに捉え、ネガティヴな感情とも向き合いながらも、新たな曲に取り組んだり、インターネットでの配信を試みたり、改めて楽譜を深く読み返したり、感染対策を施して自主演奏会を行ったりと、今できる音楽活動を精一杯重ねてきました。

そんなアーティストたちがコロナ禍で取り組んだことやコンサートに向けての思いを本ブログにて順番に紹介していきます。
まず1回目は、ピアニスト・田中咲絵さんからのメッセージです。ぜひ最後までご覧ください。

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2020年は世界中の誰もが、思い描いていた未来とは全く異なる1年を過ごされたのではないでしょうか。

私も、当初2020年3月に予定されていたこのジョイント・コンサートが中止になるなんて、去年の今頃は夢にも思っていませんでした。出演予定だったコンサートが中止になるということ自体が初めての経験でしたし、周りの音楽家の皆さんのコンサートも軒並み中止になっていく光景をSNSを通して目の当たりにし、胸が痛みました。

しかし、個人的にはコロナ以前は常に何かに追われるようにスケジュールをこなしていたので、「これは一旦立ち止まって自分自身を充電するチャンス」と捉え、前向きな気持ちで自粛期間を過ごすことができました。

自粛期間には、この時にしかできないことをしようと思い、ピアノに関して言えば、これまでに取り組んだことのない作曲家の作品や、ずっと弾いてみたかった曲にいくつか挑戦しました。(7月に京都コンサートホールのYouTubeにアップされたメッセージ動画内で演奏しているシューマン=リストの献呈も新しく取り組んだ曲です。)

本番のステージで皆さんに演奏を聴いていただけることはとても幸せなことですが、じっくりと自分のためだけにピアノと向き合えた時間もとても尊く感じました。この期間が少しでも自分の肥やしとなっていればいいなと思います。

夏以降は、他の楽器の方の伴奏として動画収録にご一緒させていただく機会や、感染症対策を施した上でのコンサートや試演会など、これまでにない形での演奏の機会が徐々に戻ってきました。お客さんの立場としても、いくつかのコンサートを聴きにホールへ足を運びました。

今までの普通が普通でなくなってしまった今、このようなご時世でも音楽を聴きに会場へ足を運んでくださる方々、感染症対策を始め、コンサート開催までにあらゆる面でサポートをしてくださるスタッフの皆さんのおかげで、コンサートが成り立っているということを改めて実感しています。

そして何よりも、「生の音楽を演奏者とお客さんが同じ空気の中で共有できることの喜び」をとても強く感じました。

ジョイント・コンサートの開催が1年越しに決定し、チケット発売後すぐに売り切れ状態になったことからも、多くの方々がこのコンサートを楽しみにしてくださっているんだなと、とても嬉しく思っています。このコンサートが今度こそ無事に開催され、皆さまと楽しいひと時を過ごすことができますよう、私も心から願っています。

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