【第1期登録アーティスト】ジョイント・コンサートに向けて③(DUO GRANDE ヴァイオリニスト・上敷領藍子)

投稿日:
京都コンサートホール

2019年度よりスタートした、「Join us(ジョイ・ナス)! ~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~」。
2019年度、1年間、京都コンサートホール登録アーティストと共にアウトリーチ活動を実施し、その締めくくりとして2020年3月に「ジョイント・コンサート」を予定しておりました。コンサートは、新型コロナウイルス感染症の影響により公演中止となりましたが、2021年3月7日に1年越しで開催することとなりました。

本ブログでは、登録アーティストたち3組4名の「ジョイント・コンサート」に向けての思いや、昨年の活動について紹介しております。
第3回は、DUO GRANDE(弦楽デュオ)の上敷領藍子さんです。ぜひ最後までご覧ください。

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2020年という年は、毎日繰り返し流れるTVのニュースを眺めながら過ごしているうちに一瞬で過ぎ去ってしまいました。音楽業界も予定されていた公演が次々と中止となり、見たことのない状況に気持ちが落ち込みましたが、公演が再開となると、それはそれで人を集めて「密」を作るきっかけになっているのではと、演奏する喜びの反面、人々の健康への不安と葛藤する日々が続いております。

私自身はコンサートが無くなり静かにしている間、何か自分にできる事はないかと考えました。そこで思いついたのは、自分と同い年の音楽家を多くの方々に紹介すること。それに伴い「あいこの音楽友だち部屋」という番組をYouTubeで立ち上げました。同世代には素晴らしい音楽家が沢山いて、小学生の頃から多くの刺激を受けてきました。今日も自分がヴァイオリンを弾き続けていられるのは、いつも音楽と真摯に向き合って演奏している同級生からの影響がとても大きいと日々感じています。番組内では彼らが日頃どのような想いで演奏家として生きているのか等のお話をとても正直に話してくれています。

実は第1回のゲストにはDUO GRANDEの朴梨恵さんが登場してくれています。とてもユニークでチャーミングな朴さんの素顔が沢山見られます!是非、「あいこの音楽友だち部屋」を見てくださいね。

さて、私と朴梨恵さんのデュオグループ、DUO GRANDEですが、去年の春からは一度も活動出来ませんでした。このジョイント・コンサートがとても久しぶりの私たちの舞台になります。舞台に立ってどんな事を思ったり感じたりするのか想像もつきませんが、ワクワクしたり、ドキドキしたり、ホールの響きを感じたり(舞台の真ん中に行くまでの自分の足音の響きなども)、マスクに隠れて目しか見えないお客様からの表情を読み取ったり、これから演奏する曲の事を考えたりときっと頭の中は忙しくて、一つ一つ認識する前に次の事を考えながら、その一瞬一瞬を感じているのだろうと思います。

お客様のいる「本番」でしか叶わない事、私と朴さんの二人の舞台がお客様と一体になることで大きな空間に生まれ変わるその瞬間が、待ち遠しいです。

2019年度のアウトリーチ演奏の様子

コンサートまであと少し時間がありますが、感染が拡大している今、無事コンサートが開催され、安心してご来場いただける事を願っております。

まずは皆様のご健康を心からお祈りしております。そして会場で元気にお目にかかりましょう!

 

上敷領 藍子

★ジョイント・コンサートに向けて
①ピアニスト・田中咲絵
②ヴァイオリニスト・石上真由子

「Join us !~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~」特設ページ

【第1期登録アーティスト】ジョイント・コンサートに向けて②(ヴァイオリニスト・石上真由子)

投稿日:
京都コンサートホール

「Join us(ジョイ・ナス)! ~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~」は2019年度よりスタートし、京都コンサートホール登録アーティストの3組と共に、初年度1年間、京都市内の小学校にてアウトリーチ活動を展開してまいりました。
その締めくくりとして2020年3月に予定していた「ジョイント・コンサート」は、新型コロナウイルス感染症の影響により公演中止となりましたが、2021年3月7日に1年越しで開催することとなりました。

本ブログでは、登録アーティストたち3組4名の昨年2020年の取組やコンサートに向けての思いを紹介しています。
第2回は、ヴァイオリニスト・石上真由子さんです。ぜひ最後までご覧ください。

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(C)Shuzo Ogushi

◇2020年について

これまで時間に追われる生活だったので、実は少しほっとしました。京都で2年半ほど続けている月1〜3回の自主公演(Ensemble Amoibeシリーズ)を、中止する決断をしないといけなくなった時は流石に気落ちしましたが、活動再開後や来年度やりたい企画などを温める時間だ!と割り切って、意外とポジティブに過ごすことができました。

思い切ってジム通いを始めてみたり、夜型の生活を朝型に切り替えてみたり、プールに行ったり、忙しくてしていなかったパンやケーキ作り、茶道のお稽古を再開したり。音楽面では、レパートリーの開拓や、これまでやりたくてもできていなかった細々とした練習をじっくりできました。

また、環境面については、思い切って東京に住居を構え、新生活を楽しんでいます。

2019年度のアウトリーチ演奏の様子

◇ジョイント・コンサートに向けて

Ensemble Amoibe公演や、ほか出演予定公演の中止を公表した時、ファンの方々から沢山のメッセージをいただきました。「公演の再開を心待ちにしています」「音楽家にとっては苦しい時だと思いますが、石上さんの演奏を生で再び聴けるのを楽しみに私も頑張ります」など、私のことを待ってくれている人がこんなに沢山いらっしゃるのだ と実感しました。またその温かいメッセージに励まされて、ここで留まってはいけない、これからの時代に沿った音楽家のあり方を模索しよう と勇気をいただきました。

活動自粛を経験して、 何事もなく公演が開催できる、お客さんの前で演奏できることの有難さを再認識しました。そして芸術はやはり生活に必要である ということも。

みなさまとの時間を大切に、そして今回のステージをしっかり楽しみたいと思います。みなさまにお目にかかれますのを心待ちにしております!

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ジョイント・コンサートに向けて①(ピアニスト・田中咲絵)

「Join us !~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~」特設ページ

 

 

【第1期登録アーティスト】ジョイントコンサートに向けて①(ピアニスト・田中咲絵)

投稿日:
アンサンブルホールムラタ

2019年度よりスタートした「Join us(ジョイ・ナス)! ~キョウト・ミュージック・アウトリーチ~」。

初年度の2019年度は1年にわたり、京都コンサートホール登録アーティストの3組(石上真由子さん、DUO GRANDE[上敷領藍子さん・朴梨恵さん]、田中咲絵さん)と共に京都市内の小学校をまわり、たくさんの子どもたちに生演奏を届けることができました。その締めくくりとして2020年3月1日に「ジョイント・コンサート」を開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により直前に公演中止となりました。
2020年4月からの2年目のアウトリーチ活動も中止を余儀なくされましたが、2021年3月7日に、1年越しでジョイント・コンサートを開催いたします(※チケットは完売)。

登録アーティストたち3組4名はこの1年間、自分の内面を見つめなおす時間として前向きに捉え、ネガティヴな感情とも向き合いながらも、新たな曲に取り組んだり、インターネットでの配信を試みたり、改めて楽譜を深く読み返したり、感染対策を施して自主演奏会を行ったりと、今できる音楽活動を精一杯重ねてきました。

そんなアーティストたちがコロナ禍で取り組んだことやコンサートに向けての思いを本ブログにて順番に紹介していきます。
まず1回目は、ピアニスト・田中咲絵さんからのメッセージです。ぜひ最後までご覧ください。

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2020年は世界中の誰もが、思い描いていた未来とは全く異なる1年を過ごされたのではないでしょうか。

私も、当初2020年3月に予定されていたこのジョイント・コンサートが中止になるなんて、去年の今頃は夢にも思っていませんでした。出演予定だったコンサートが中止になるということ自体が初めての経験でしたし、周りの音楽家の皆さんのコンサートも軒並み中止になっていく光景をSNSを通して目の当たりにし、胸が痛みました。

しかし、個人的にはコロナ以前は常に何かに追われるようにスケジュールをこなしていたので、「これは一旦立ち止まって自分自身を充電するチャンス」と捉え、前向きな気持ちで自粛期間を過ごすことができました。

自粛期間には、この時にしかできないことをしようと思い、ピアノに関して言えば、これまでに取り組んだことのない作曲家の作品や、ずっと弾いてみたかった曲にいくつか挑戦しました。(7月に京都コンサートホールのYouTubeにアップされたメッセージ動画内で演奏しているシューマン=リストの献呈も新しく取り組んだ曲です。)

本番のステージで皆さんに演奏を聴いていただけることはとても幸せなことですが、じっくりと自分のためだけにピアノと向き合えた時間もとても尊く感じました。この期間が少しでも自分の肥やしとなっていればいいなと思います。

夏以降は、他の楽器の方の伴奏として動画収録にご一緒させていただく機会や、感染症対策を施した上でのコンサートや試演会など、これまでにない形での演奏の機会が徐々に戻ってきました。お客さんの立場としても、いくつかのコンサートを聴きにホールへ足を運びました。

今までの普通が普通でなくなってしまった今、このようなご時世でも音楽を聴きに会場へ足を運んでくださる方々、感染症対策を始め、コンサート開催までにあらゆる面でサポートをしてくださるスタッフの皆さんのおかげで、コンサートが成り立っているということを改めて実感しています。

そして何よりも、「生の音楽を演奏者とお客さんが同じ空気の中で共有できることの喜び」をとても強く感じました。

ジョイント・コンサートの開催が1年越しに決定し、チケット発売後すぐに売り切れ状態になったことからも、多くの方々がこのコンサートを楽しみにしてくださっているんだなと、とても嬉しく思っています。このコンサートが今度こそ無事に開催され、皆さまと楽しいひと時を過ごすことができますよう、私も心から願っています。

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